個人再生は、まず小規模個人再生と給与所得者等再生の二つに分類され、さらに住宅を持っている場合
住宅資金貸付債権の特則というものを付与することにより、住宅を手離さなくて済むようになります。
今までは、何とかして借金の全てを支払う方法(任意整理・特定調停)か、一切支払わない方法(自己破産)の
どちらかしか選択の余地はありませんでしたが、個人再生は原則として
債務額の5分の1を支払えばあとの残債は免除されます。(但し最低弁済額がありますので下記をご参照下さい。)
■小規模個人再生とは?
小売店、農家などで、継続的な収入はあるもののその額が変動的である人が対象の個人再生方法です。
要件として、住宅ローンを除いた負債額が3000万円以下であることが必要です。
原則3年で返済を行うための再生計画案を裁判所に提出し、それに沿った返済を行いますが
最低弁済額というものが設定されていますので、それをクリアしないと再生計画案は認可されません。
小規模個人再生の最低弁済額は以下のようになっています。
- 債務者の財産を全て処分した場合に得られる金額
・・・不動産、車、退職金などもこれに含まれます。
- 負債総額に応じた金額
負債100万円未満・・・負債全額
負債100万円以上500万円未満・・・100万円
負債500万円以上1500万円未満・・・負債の5分の1
負債1500万円以上3000万円以下・・・300万円
1か2のうち、最も多い金額を支払う再生計画案でないと裁判所からの認可は下りません。
最低弁済額の計算は複雑ですから、司法書士などの専門家に任せると安心です。
■給与所得者等再生とは?
サラリーマンなど、定期的な収入が見込まれその額があまり変動しない人が対象となります。
要件は小規模個人再生と同じように、住宅ローンを除いた負債額が3000万円以下であることが必要です。
小規模個人再生と同様に、給与所得者等再生にも最低弁済額があります。
1以外は小規模個人再生と同じ内容になります。
- 債務者の可処分所得額の2年分
- 債務者の財産を全て処分した場合に得られる金額
- 負債総額に応じた金額
1〜3のうち、最も多い金額を支払う再生計画案でないと裁判所からの認可は下りません。
可処分所得というのは、収入の総額から次のような金額を差し引いたものです。
・社会保険料
・税金(所得税・市県民税)
・制令で定める一定の費用
小規模個人再生と給与所得者再生に付与するオプション的な特則が
住宅資金貸付債権の特則(住宅ローン特則)です。
住宅を手に入れる際、ほとんどの方は銀行などから借入をしています。
その際、銀行から住宅に抵当権というものがかけられ、借り入れた資金の返済を怠った場合には
その抵当権が実行され、住宅は競売にかけられます。住宅資金貸付債権の特則は、それを防ぐためにあります。
この特則で、住宅ローンが免除されたり減額されることはありませんが、猶予が与えられたり延長され
住宅を失わずに済みます。
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地方裁判所に申立をします。
必要があれば個人再生委員が選出され
再生手続が開始されます。 |
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債権を調査し、最低弁済額を考慮した
上で再生計画案を作成・提出します。
返済期間は基本的に3年ですが
特別な場合には5年も認められます。 |
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提出した再生計画案に不認可事由が
ないようであれば、裁判所から
再生計画の認可がおります。 |
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認可が下りた再生計画に沿って
返済をしていきます。 |
- 住宅ローン特則を付与すれば、マイホームを手放さなくて済む
- 債務の大幅な圧縮が期待できる
- 自己破産のような免責不許可事由(債務圧縮を認められないこと)がない
- 職業上の制限がない
デメリットとしては
- 利用するための条件がある
- 手続が複雑で時間がかかる
- 整理する借金を選択することが出来ない
- 官報に載る
- いわゆる「ブラックリスト」に載ってしまうため、暫く新たなクレジットカードやローンは組めない。
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